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Experience Note

田村 篤史 (東北大学大学院 医学系研究科 医用画像工学分野)

 私は、これまで Ca2+ イメージングを用いて大脳基底核線条体の神経生理学的研究に取り組んできました。そのため、今回のサマースクールの「光計測と操作による先端脳研究」というテーマは大変興味深く、今回トラベルグラントに採択いただいたことには心から感謝しております。

 サマースクールでは光計測や操作のために必要となる機能タンパクをどのようにして実験動物に導入するかというお話や、蛍光タンパク、量子ドットといった蛍光観察ツールのそれぞれの特徴と活用方法のお話など、非常に便利なツールをどのようにして実際の研究の道具として組み込んでいくのかというのがとてもよくわかりました。また、自分の研究テーマに近い領域についてはなるべく情報収集するように心がけていますが、他の領域になると、なかなかそうもいかず、知っているつもりになっていることも多かったのですが、今回は4 人の先生方がそれぞれ異なる研究領域で活躍されているため、体性感覚、睡眠、記憶、視覚のそれぞれの領域について、今さら聞けないような基本的なところを改めて学ぶことができました。光計測と操作というキーワードやそれぞれの先生方の研究内容についてももちろん勉強になりましたが、特に、古典的に言われている基本的なことのなかでどこに疑問をもち、それをどのように新しい研究に発展してこられたのかという点が非常に刺激的で、今後自分が研究計画を立てていくうえで、知っておくべきこと、目をつけるべきところを理解するうえで非常に有益な経験になったと思います。

 ご講演以外では、若手向けの会ということもあり、年の近い参加者も多く、休憩時間や懇親会などではお互いの研究の話から、研究室での様子まで様々な話を気兼ねなくすることができ、今後も続いていく重要なつながりを作ることができたのではないかと思います。

 このサマースクールで得ることのできた知識、縁を大切にして、今後の自分の研究に生かせるよう努力してまいりたいと思います。

瀧田 真平  (大阪大学 理学研究科 生物科学専攻)

 2013年度の第13回生理学若手サマースクールでは、「光計測と操作による先端脳研究」というテーマに沿って、異なる分野で光を駆使して研究されている4人の研究者の方々が招待されていた。その中で視覚機能を再生させる試みを行っている方が今回の講師にいらっしゃったため、視細胞の研究を行っておられる先生からこの会を紹介して頂いた。網膜色素変性症下での視覚機能の回復は近年非常に研究が盛んで、かつ私自身の普段の研究分野と比較的近いため今回の参加を決め、トラベルグラントに応募した。

 各講師の講義は二時間からなり、最初の一時間でそれぞれの分野の基礎知識を、次の一時間で最新の研究に焦点を当てたより専門的な内容を学ぶ形式で行われた。このため、光受容イオンチャネルの持つ性質を応用して特定のニューロンの興奮もしくは抑制を光でコントロールし、その際の行動変容を解析されている村山・山中両先生の話や、林先生の蛍光蛋白質やその応用としてFörster Resonance Energy Transfer (FRET)を用いてlong-term potentiation (LTP)誘起時の樹状突起のspine形成に関係する蛋白質を解析されている話、そして富田先生の光受容細胞である視細胞を失った(網膜色素変性症や加齢黄斑変性症のモデル)ラットの神経節細胞に光受容チャネルを発現させて視覚機能を再生させる話と、各トピックは非常に異なっているものの、総じて内容を理解し易かった。

 講義全体を通して印象的だったのは、生理学のために別の分野、具体的には光学、分子遺伝学、分子生物学的技術を取り入れたり、一方逆に分子機能の生理的意義を検証するために生理学を行うという風に、講師の方全員が横断的に研究をなさっている点であった。また、研究者の方ご自身が自らの履歴を詳しく話されるというのは他のセミナー等にはなく良い意味で新鮮だった。

 今後は、得られた貴重な経験を今後の研究にぜひ活かしていきたいと思う。最後に、今回トラベルグラントに採択して頂き、またお忙しい中運営を行って頂きまして有り難うございました。

順天堂大学 センチュリータワー 13階

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